2019年10月14日

雪組「ハリウッド・ゴシップ」全体感想

2019年10月13日、雪組「ハリウッド・ゴシップ」を観劇して参りました!!
いや~…始まる前は(チケットが取れなさ過ぎて)「この公演観られないのでは…」と青ざめておりましたが、まさか始まってからも(超大型台風接近で)「この公演観られないのでは…」と青ざめることになろうとは思いもしませんでした。
私は運良く自宅も被災せず、交通機関の復旧も早かったため無事観劇することができましたが…楽しみにしていたのに観られなかった、という方も沢山いらっしゃったと思います。自然災害なのでどうしようもないことではありますが、もう二度と自然災害による休演が起こらないことを祈ります…。

さて、気を取り直して舞台の感想ですが!

……第1幕は面白かったんだけどなぁ……。

って感じでした!!悪いとまでは言わないけど、うーん…ちょっと期待しすぎてしまったのかもしれない。大筋は良かったけど、細かい部分が色々引っかかってしまって、ストーリーそのものにはそこまで惹かれなかったです。
自分の中で引っかかったのは多分、

●恋愛ドラマとしても成長ドラマとしてもチョット…
●悪役?が中途半端
●結局あのポスターは何だったんや…

ってあたりかな…ってこう書くとすっごいダメな作品みたいだな!?(笑)
うーん、いや、ちゃんと良い点もあったんだよ。さっき書いた通り第1幕は面白かったし、展開も早いからあっという間に終わった!って感じたし。
あとミュージカル映画を撮るって話だったのもあって、歌やダンスシーンが多くて華やかだったのはとても良かった!!フィナーレもすっごく良かったし!!「フィナーレだけ3万回くらい見たいな!!」って思ったもんね!!

でもやっぱり後半がねぇ…「???」だったんだよね~…。

てことでまたダメだし感想になっちゃいそうですが、まぁ自分のために書いてる観劇記録ですし「ハリゴシ凄く面白くて感動した!!」って方は私と感性が合わないんだなってことで一つよろしくお願いします(何を)


●まず「恋愛ドラマとしても成長ドラマとしてもチョット…」って話

この作品の主軸になるのは、主人公・コンラッドとヒロイン・エステラとのロマンスと、コンラッドが無名のエキストラから映画スターへと一気に駆け上っていく栄光と挫折。
なんだけど、まずエステラはいつコンラッドに惚れたんだ?????っていうのが私にはよく分からんかった…。
コンラッドがエステラを気に入ったのは、ダイナーで働いていた理由を聞いたのがきっかけかな?と思ったんだけど、エステラは??
ジェリーに薬物を勧めたのがコンラッドという話を聞いて(実際は違うけど)、軽蔑した感じだったじゃん?
それが何でダイナーで再会してすぐに良い雰囲気になっちゃってんの???
私の記憶がすっ飛んでるのかな~??1回観ただけでは「???何でくっついたんだ、この二人???」で終わっちゃいました。
話の流れとしては、

コンラッドを軽蔑し、ハリウッドに別れを告げたエステラは、ダイナーにやってきたコンラッドと話そうとしない
→コンラッドはそんなエステラに「スターに憧れるあまり、自分を見失っていた。エージェントもやめ、昔のエキストラ仲間とも仲直りして、一からやり直すことにしたんだ」と真摯に話し、ジェリーと薬物の関係についても知っていることをきちんと話す
→コンラッドの真剣な様子を見て、かたくなな態度を少し緩めるエステラ「…それで、今日は何をしにここへ?」と尋ねる。
→「君と、もう一度映画を撮りたいんだ。今度は誰かに仕立て上げられたスターとしてではなく、映画を愛する者同士として」とコンラッド。エステラは少し考え込み「…あなたが真剣に言ってるなら、考えてもいいわ」と返事。大喜びのコンラッドと、満更でもなさそうなエステラ。2人は今後良い関係になりそう…と匂わせて終幕。

くらいの方が自然だったんじゃないかな…んでフィナーレで2人のデュエダンがあれば、「あの2人、上手くいったみたいだな」とニマニマできて良かったんじゃないかな~なんて思ったりしました。
別に話の中で無理やりくっつけなくてもいいと思うんだよねぇ。

とまぁ、恋愛ドラマ的に最後は謎だったんですが、コンラッドの成長ドラマとしても…ウーン、何でだ??って思う部分がちらほら。
コンラッドは映画に登場するヒーローに憧れて映画俳優を志したという設定なのに、スターになった途端に横暴で嫌な奴になっちゃったのが謎で…。アマンダに「常にスターとしての自分を演じろ」とは指導されてたけど、それだったら「常にヒーロー然とした映画スター」を演じる方が自然だと思うんです。
そもそもライバルであるジェリーが正にそういう横暴キャラなんだから、同じ「横暴キャラ」を演じたら自分も敵を作って同じ憂き目に遭うかもしれないじゃん??であれば、ジェリーとは反対に良い人キャラを演じて共演者やスタッフに味方を増やし、ジェリーを追い落とすって方が話としても面白かったんじゃないかと思うんですが、どうでしょ。
「スターだからって好き勝手やると、周りに敵を作って足を引っ張られる」ていう失敗パターンはジェリーが担当するんだから、コンラッドには「良い人を演じて味方を増やしても、やりすぎればメッキが剥がれて全てを失う」とか別の失敗パターンを担当して欲しかったな。で、そこから「虚構の自分を見せようとするのをやめて、本来の自分を見つめ直す」とした方が、「虚構の街ハリウッドを描く」というテーマにも合ってたんじゃないかと。
コンラッドに限らず、キャラクターの設定と行動がきちんと結びついていないと感じたり、行動が突飛に見える人物もいたりと、全体的にキャラ設定の弱さが気になりました。

あ、あとどうでもいいけどこの作品の時代って禁酒法時代だからコンラッドとエステラがお酒で乾杯してるっぽい場面もちょっと気になりました!!(「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ」の映画を観たばかりだったもんでw)


●「悪役?が中途半端」って話

第1幕ではジェリーが悪役然としているけど、第2幕ではそのジェリーを追い詰めるさらなる悪が薬物…コカインとなる。
「ってオイ、急だな!?しかも薬物って!?」とコカインの話が出てきた時つい突っ込みそうになったわ!!
たしかに売人をやってたマリオがコンラッドに「良い仕事があるぜ」と紹介しようとしたり、楽屋に戻るジェリーをマリオが追いかけていったりとかそういう描写はあるにはあったけど…第1幕のジェリーを見ていて、クスリに走りそうな雰囲気は感じなかったんだけど???
普段は自信満々な態度を取りながらも、時々妙に不安そうな様子を見せる…とか、第1幕でジェリーのそういう「トップに上り詰めたが故の孤独や不安感」の描写があったらさ、そこまで違和感もなかったと思うけど。伏線張るならもうちょっと丁寧にやってほしかったなぁ…でないと「手っ取り早くスキャンダルになるもの」として薬物が出てきたって軽い印象になっちゃってモヤモヤする…。
それでジェリーがあんな風に追い詰められて、錯乱して転落したまま出番が終わりって…ジェリーが可哀想すぎでしょ…ジェリーはたしかにアマンダを踏み台にして捨てた酷い奴だけど、ジェリーだって!!頑張ってるんだよ…!!!(笑)

あ、あともう一つ悪っぽく?描かれているパパラッチたち。
前半は普通の芸能記者として描かれているのに、後半で急に「スクープのためなら心無いことを言う連中」って描き方になるのに、やっぱり「お、オウ、急だな!?」ってなりました(笑)
薬物にしてもパパラッチにしても、「悪いもの」という世間一般のイメージがあるから使いましたっていう取って付けた感を感じてしまいまして。もう少し要素をしぼって、作品内で「ハリウッドの暗部」を丁寧に描いた方がスッキリして良かったんじゃないかと思います。

あ、あとプロデューサーのハワードも、折角専科のはっちさん(夏美よう)を連れてきたのに、その場のノリと勢いだけでやって来た適当な人物に見えちゃって残念だったな…「古だぬき」なんて揶揄されるくらいだから、もっと狡猾でやり手な部分を見せて欲しかった。


●「結局あのポスターは何だったんや…」て話(笑)

あのポスターの是非は一旦置いといて、あんな印象的なポスターだったら劇中にそういうシーンが登場するんだろうなって思うじゃん?思いません??私は思った…んだけど。

…あんな場面、あったっけ…???

え、ありました?エステラがコンラッドを引っぱたく場面…私、目を開けながら寝てたんだろうか???全然記憶にないんだけど…あるとしたらジェリーに薬物を流していたのがコンラッドだって疑惑をかけられて、エステラが立ち去る場面だよねぇ…うーん?????
まぁポスターはあくまでイメージだけど…エステラがあのポスターと同じくらい怒っていたなら、ダイナーで再会した時にすんなりコンラッドを受け入れてカップルになっちゃうのってやっぱりどーなの!?って思うし。
で、あればあのポスターにした意味とは!?って考えちゃうし…(未だにパーフェクト先行画像を引きずっている)
ポスター撮影時、コンラッド役のさきちゃん(彩風咲奈)もエステラ役のかのちゃん(潤花)も大変だったって話を思いだすにつけ、「田淵ィ…」と思わず西の空へ向かって演出家の名をつぶやき、奥歯をかみしめてしまう私なのであった…。

とまぁつい脚本にダメ出しをしてしまったけど、推しの主演舞台だから厳しい目で見てしまうんだ、すまない…!!
いやでもホントに、前半が面白かっただけになー…後半の失速ぶりが残念でした。
でもミュージカルシーンはどの場面も楽しかったし、オリジナル作品だけあって適材適所なキャスティングも良かったと思います!
てことで、キャスト別の感想も…と思ったけど、長くなったので次の記事にします。

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