2019年9月29日

星組「GOD OF STARS-食聖-」感想 とちょこっとレビュー感想

2019年9月21日ソワレ、サンケイリビング貸切公演を観賞して参りました!
ポスター画像を見た瞬間から「何コレ、ジャ〇プかサ〇デーの料理漫画みたい!!めっちゃ観たい!!!」と思っていた星組公演でしたが、思った以上にハチャメチャで(誉めてます)超~~~~楽しかったです!!
「湿っぽいサヨナラ公演にしたくない、最後は賑やかに終わりたい」という紅さんの想いに、作・演出の小柳先生が2000%の想いで応え、愛と笑いと温かい涙で溢れる作品に仕上がっていましたね。
べにあーコンビ作品を全て見ているわけではないんですが、今まで観た中ではダントツで好きな作品になりましたw

「食聖」を観る前に一番気になっていたのは、主人公のホン・シンシン=紅孩児という設定。
「主人公のホンは天才料理人だけど過去の記憶がないよ!!」ってのは分かる。
「舞台が現代のシンガポールで、アイドルグループも複数登場するよ!」ってのも分かる。

でもキャスト一覧に「牛魔王」やら「鉄扇公主」やらがいるのはマジで意味分かんないんですけど???

というわけで、観る前は「もしかしてホンが紅孩児の生まれ変わりとかそういう話なのかな~?」と思ってたんです。
舞台映像をチラ見したら、こっちゃん(礼真琴)も孫悟空の格好をしていたから「紅孩児の生まれ変わりのホンと孫悟空の生まれ変わりのリーが、現代のシンガポールでバチバチの(料理)バトルを繰り広げるってことかな?」とかとかとか。

したらま~、そんな遠回しな表現は一切なかった!!何という潔さ!!!(笑)

本当にホン=紅孩児だったし、現代だろうと牛魔王が普通~に出てきて屋台でご飯食べちゃうっていうwww
そんなトンデモファンタジー…のようで、変に誤魔化しがない分「何でもアリ」な世界観が成立しているのが小気味よかったですね!そうだよねぇ、こういう何でもアリな世界観で中途半端に整合性(それこそ「現代に牛魔王は馴染まないから転生モノにしよう」とか)を取ろうとすると、却って寒々しいというかイタイ感じになっちゃったりするもんね。小柳先生の思い切りの良い世界観と、それを全力でパワフルに演じる星組のパワーが合わさって、最初から最後まで本当に楽しかったな~!!

個人的に、こういうトンデモ世界観の作品で肝になるのって、リアリティをどこで出すかってことではないかと思っています。舞台に限らず、面白いフィクションって虚構と現実のバランスが良い作品だと思うんですよ。
たとえば、世界観がファンタジーとか「こんな世界、現実にはない…けどあったらいいな」という虚構色の強い作品であれば、ドラマ(登場人物たちの感情表現など)はリアルに描くとか。
逆に世界観が現実味の強い現代作品であれば、ドラマ部分は「こんな都合の良い展開、現実にはない…けどあったらいいな」と夢のある話にするとか。
ファンタジー世界で夢見がちなフワフワ展開だと「ありえなさすぎ」と冷めてしまったり、現実世界で夢も希望もない展開だと「世知辛すぎ」とやはり冷めてしまったりする。勿論、どちらも悪いわけではなく「とことんファンタジー!」「とことんリアリティ!」な作品にも面白い作品は沢山あります。
それでもやはり、虚構と現実のバランスが良い作品って万人受けしやすいというか、誰がいつ見ても楽しめる良さがあると思うんですよね。

「食聖」でいうと、世界観はファンタジー寄りながらも、SNSやアイドルという現代らしさもあり。
ストーリーもコミカルではあるけども、恋や家族愛という共感しやすい人間関係もしっかり描いている。
そしてドタバタコメディでありながらも、宝塚らしい品の良さはきちんと残っている。

完全オリジナルの宛書で、あれだけキャラの濃い人物を沢山登場させつつ、話も面白い(かつ小柳先生ご本人の趣味嗜好(笑)も活かせる)作品を作れるって凄いな…しかも駄作が多いとされるトップの退団作でw
まぁ、アイリーンがホンに惚れたきっかけがよく分からなかったりもしたけど…それくらいは許容範囲かな。全く想像もできないってわけでもないし。

そして何より、小柳先生が書かれた台詞の端々にトップコンビと星組への深い愛が感じられたのがとてもとても良かったです!!
至る所で笑わせにくるのに、「星なんていらない。お前にくれてやる」なんて台詞をトップ→次期トップに言わせるのホントずるいわ~!!そんなん泣いちゃうよ!!
主題歌も中毒性があるというか、さすがヒャダイン氏という感じ。今回振付に参加された梅棒さんはよく存じ上げないものの、アイドルシーンの振付は「めっちゃアイドルっぽい!!」と大変興奮いたしました(笑)
あ、あと最後の大・団・円!!って終わり方も凄く良かった!舞台上に人が沢山いすぎる上に、それぞれが好きにお芝居してるからもう全然目が足りないんだけどwwwそういうワチャワチャ感がとても温かくて、素敵なラストシーンでした!!

べにあー率いる星組の皆さま、そして小柳先生、とっても楽しくてハッピーで元気がモリモリ湧いてくる素敵な作品を本当にありがとうございました!!

以下、ふんわりキャスト別感想です。


☆ホン・シンシン@紅ゆずる

正~~~直申しあげまして、苦手なジェンヌさんでした。
というのも、べにさん(紅ゆずる)お披露目「スカーレット・ピンパーネル」のパーシー・ブレイクニーが受け入れられなかったから。べにさん演じるパーシーが私の中のパーシー像と全く合わなかったんですよね~…でもべにさんご本人はパーシーをノリノリで演じてらっしゃる上に「生まれ変わってもパーシーを演じたい!」というようなことをおっしゃってるのを見て「せ、拙者には受け入れがたく候~~~!!!!!」と白目むいてぶっ倒れそうにもなりました。
それが「ANOTHER WORLD」を見た時に、オリジナルキャラクターであればべにさんの奔放さや軽妙さがプラスに働くんだなと気付き。今回の「食聖」でそれが紅ゆずるというスターの魅力なんだ、と今更ながら気付いた次第です。
劇中の「今いる場所で輝けば、いつか必ず結果が出る」という台詞や、アイリーンの「完璧だから素晴らしいんじゃない、足りない部分は補い合えばいい」というような台詞(うろ覚えです)。これは技術面で叩かれることも多かったべにさんや、べにあーコンビ、引いては全てのタカラジェンヌへの小柳先生からの応援メッセージなのかなと思いました。
べにさんは本当に良い意味でも悪い意味でもクセの強い方だけども、そんなべにさんだったからこそこんなに面白い作品が生まれたんだよなぁ…と思うと、本当にありがとうございましたという気持ちで一杯です!我が強くて俺様な面もありつつも、情に厚くて気付けば沢山の人に囲まれて笑っている。そんなホンの姿とべにさんご本人が重なる、とても素敵なお役でしたね!

あ、あとサンケイリビング貸切公演の終演後インタビューで、「宝塚はけして敷居が高くない、ということを伝えたい。もっと近くでお客様に宝塚を楽しんでほしくて、ショーでの客席降りも多くしてもらってきました」というようなことをおっしゃっていたのを聞いて、自分の信念をきちっと貫いてきた方なのだなとも感じました。
退団後はどういう道に進まれるのかなぁ…分かりませんが、べにさんの新しい道にも笑顔が溢れていますように!!


☆アイリーン・チョウ@綺咲愛里

小柳先生の萌えツボが全部詰め込まれたようなキャラクターだなぁ…と思いながら観ていました(笑)
勝ち気で無鉄砲、腕っぷしも強いけど恋に落ちると可愛い面も見せる美少女(※料理はど下手)ってもう少年漫画の王道ヒロインキャラですよね!しかもビジュアルがピンクのロングヘアーて!!オリジナル作品なのに二次元から飛び出てきた感が凄い!!
最後の料理対決で着てきたコスチューム姿が完璧すぎて、あの服着こなせるあーちゃん(綺咲愛里)スゲェ~!!と心の中で拍手しましたわ。あのビジュアルは強い。
お芝居や歌の声がヘロヘロしているのがやっぱり残念ではあるんだけど…退団公演がウルトラハッピーエンドを迎えられるお役で良かったねぇと温かい気持ちになったので、もうその辺は考えないでおこう、うん(笑)


☆リー・ロンロン@礼真琴

ポスター画像の印象や「ホンを裏切る」という設定から、悪い奴なのかな?と思ってたらめっちゃヘタレキャラでとっても可愛かったwww
天才だけど気弱でへたれな眼鏡くんが、憧れの女性のために俺様キャラになって頑張る…んだけど、ふとした瞬間にへたれキャラな面が出てきてしまうというコミカルなキャラクターがすごく魅力的でしたね~!!キャラクターの変化で声色や歌い方をガラッと変えるところもさすがの巧みさでした。
ただ、ホンがべにさんと重なって見えたように、リーもこっちゃんと重なって見える部分はあって…「首席の優等生」であるが故の苦労とか悩みとか絶対あると思うから、舞台を観ていてこっちゃん自身が何だか心配になってきてしまって…。
なので食聖コンテストの後、ひっとん(舞空瞳)演じるクリスティーナが「元々の貴方が好きよ」というようなメッセージを伝えに来てくれるところを見て「良かった~!!!!!」と心から思いました!こっちゃんがこれからトップとして背負う様々な重荷を、一緒に背負って支え合う相手がひっとんで良かったなぁと。どちらも「何でもできちゃう人」だからこそ、分かり合える部分があればいいなってね。勝手に思っちゃったんですよね、へへっ。
こっとんコンビが、リーとクリスティーナのような素敵なコンビになりますように!星組の次期トップコンビに幸あれ~!!


☆クリスティーナ・チャン@舞空瞳

かっわいい!!!!!!!!!!!!!!!!!!(卒倒)
と、出てきた瞬間ハートを撃ち抜かれました…ああ~可愛い~可愛くて可憐で美しいよひっとん~!!!
クリスティーナとエクリプスは「SUPER MONKEY'S」がモデルなのかなぁ?雰囲気とかキャラクター設定とかアムロちゃんみたいだったし、その設定に負けない圧倒的な存在感を放つひっとんの凄さよ…つい目で追っちゃう華やかさがあるんですよねぇ。花組の「CASANOVA」で、娘役が集団で踊る場面が何回かあったんだけど、沢山娘役がいる中でつい目で追っちゃうのがひっとんでした。
食聖コンテストでのライブパフォーマンスシーンも良かったな~!!ノリノリの曲を聴きながら「何で私キンブレ振ってないんだろう!?アッここが宝塚だからだわ!!」と我に返りましたwいやでもあれは立ってキンブレ振りたい場面よね…(パラダイスプリンスの場面もだけど)
ひっとんは学年も若いし、組替えで来たことで反感を買うこともあるかもしれないけど、本当に素敵な娘役さんだと思うのでこれからのご活躍がとてもとても楽しみです…!星組で更に輝くひっとんが観られますように~!!


☆ニコラス@瀬央ゆりあ

ちゃ、チャラ~い!!小柳先生が大好き(なんじゃないかと思ってる)なチャラ男キャラだ~~!!!(笑)
てことで見た目もチャラければキャラもチャラめ、でも何だかんだ面倒見はよかったり、リーダーの役目もきちんとこなす愛されキャラって印象でした。そしてあのよく分からない髪色(紫?)が似合っちゃってるせおっち(瀬央ゆりあ)が凄い!!
アイリーンの髪色も凄いけど、ニコラスの髪色も凄いよな…なんつー派手で美しい従兄弟同士なんだwww
ニコラスを中心としたパラダイスプリンスはご当地アイドルってことで、クリスティーナ&エクリプスとは対照的なガムシャラ感があったのが良かったです。彼らのライブシーンもキンブレ振りたかったwww
せおっちはスラっと背が高くて遠目から見てもカッコいいし、目が大きくてお顔も端正だし、歌もすごく良くなってて「今めっちゃ伸びてます!!」て感じが伝わってくるスターだなぁと思いました。
これからどんなスターになっていかれるのか楽しみだな~!!

あと、華形ひかるさんのエリックが悪役かと思いきや結構良い奴だったり、インパクト絶大な汝鳥伶さんの牛魔王様が滅茶苦茶キュートだったり、朝水りょうさんのシェフ姿(と女の子を口説きまくってる姿)にときめいたりと、本当~に色んな要素を楽しめた公演でございました!!イェーイ!!

※余談ですが、一緒に観劇したオタ友に「今、朝水りょうさんが気になってて~あのフランス人シェフを演じてた方」と観劇後に話したら「ああ、ヘタリアのフランス兄ちゃんみたいだった人?」と言われて「わ、わかるwwwww」と吹き出しながらも滅茶苦茶腑に落ちたことを書いておきます。マジフランス兄ちゃんっぽくて素敵だったわwwww

※レビュー「Éclair Brillant」も滅茶苦茶良かったので感想を書きたかったのですが、ちょっと難しそうなので少しだけ下に書きます。

ツイッターにも書きましたが、クラシカルながら古臭さは全くなく、構成も振付も選曲も素晴らしく、とても上品で華やかな素晴らしいレビューでした!!特にこっちゃん&ひっとんのダンスシーンと、ボレロの場面、最後の黒燕尾の場面が最っっっっっ高!!!!!

こっちゃんとひっとんのダンスはとにかく美しく、軽やかで優雅。二人とも何でもできちゃう方々だけど、一番凄いのはやっぱりダンスなのかな…2人のシンクロぶりも凄かったし、空気が舞っている…て感じでした。こっとんコンビのデュエダンもめっちゃ楽しみだわ~!!

ボレロの場面は、2回目観劇時に2階席センターで観たんですが圧倒されました…本当に凄かった。衣装も舞台装置もシンプルなのに、ボレロの音楽が持つ力強さと、星組生の放つ圧倒的なエネルギーと団結力が合わさって、ダイナミックで華やかな素晴らしい場面になっていました。お金と時間とチケットさえあればボレロの場面観るために何回でも通いたいと思ったくらいに!!(残念ながらどれもないwww)

黒燕尾の場面もね、「風林火山」の三味線バージョンがも~凄くカッコ良くて…ああいう和風アレンジ曲で黒燕尾群舞ってのも素敵だなと思ったし、べにさんが劇場の床をそっと撫でる振付は泣けちゃった…;;;

そして最後のデュエットダンス。すっごいイチャイチャしてるぅ~wwwと思いながら見てましたが、銀橋であーちゃんを抱きしめたべにさんが「あ~幸せ~」という感じでフッと笑う姿を見て、素敵なトップコンビだなぁと胸が温かくなりました。
べにさん、あーちゃん、改めましてご卒業おめでとうございます!!東京楽のその日まで、二人のハッピーオーラで劇場が満たされますように!!

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