2019年10月22日

花組「A Fairy Tale -青い薔薇の精-」感想

2019年10月20日、花組「A Fairy Tale -青い薔薇の精-/シャルム!」を観劇して参りました!
いやぁ何というか…お芝居もショーも内容的には「ウーン??」と首をひねってしまう点が色々あったんですが、どちらも最後には必死で嗚咽を堪え、肩を震わせながらべっちょべちょに泣いてしまったという(笑)

あー私、明日海りおさんと、彼女が率いる花組が大好きなんだなぁ…と改めて実感した。そんな公演でした。

とりあえず、お芝居の「青薔薇」を書こう~と内容を思い返してみたのですが。
一言で言うと、「超~華やかで美しく、出演者のレベルがめっちゃ高い学芸会」って感じの内容でしたね…!!内容うっっっっっっす!!!!(笑)
植田景子先生が、「みりおさん(明日海りお)を薔薇の精にする」という思いつきだけで作った舞台って感じ??
単純明快(すぎる)筋書きとか、どストレートすぎる(説教臭い)メッセージとか、穴だらけの設定とかとかとか。個人的な印象としては、景子先生が描きたい場面がいくつかあって、その場面と場面をつなぎ合わせて作った話なんだろうなと思いました。なのでつなぎ合わせで作った部分は穴だらけ、みたいな。

お話は「白い薔薇の精・エリュが、かつて出会った人間の少女・シャーロットに【忘却の粉】を振りかけないまま別れてしまったため青い薔薇の精にされてしまった。元の姿に戻るため、精霊が見える人間・ハーヴィーの手を借りてシャーロットを探す」ってだけの内容。
まぁ別に複雑なストーリーである必要はないけど、まず「青い薔薇の精にされる」ことがどれだけ恐ろしいことなのかってのがよく分からない。「エリュだけがどこか違う世界に囚われてしまっている」とかそういう事情があれば元の精霊に戻りたくなるのもまだ分かるけど、別に青くなっても精霊の仲間は常に一緒にいるし。エリュが罪を犯したせいで世界中の薔薇が咲かなくなった、とかそれくらい切羽詰まる事情があってもよかったんじゃない?と思う。
それか、「エリュにとってシャーロットとの思い出がつまった庭を、昔の姿に戻したい」って理由で精霊たちがシャーロットを探すなら分かるんだけど、荒れた庭に薔薇を咲かせたいと思っているのはハーヴィーたち人間側の事情として描かれてしまっている。
もう物語の動機が最初っから弱すぎるんだよな~!!精霊たちは「なんとなく困ってるんで助けて下さい」って感じでハーヴィーを巻き込んでいて、ハーヴィー気の毒だな…と思いながら観ていました。
ハーヴィーの職場に精霊たちがドヤドヤ押しかけてくる場面とか、最初吹き出すかと思ったわ…精霊たち、めっちゃ自由やないかい!!と思ってwww
精霊たちが閉じ込められた「ミスティワールド」とは一体なんだったんだ本当に…ロンドンまでは普通に来られるんやんけ…。

かと思えば、庭師のニックとシャーロットの母・フローレンスの関係や、ラストシーンのエリュとシャーロット&エリュとハーヴィーの会話はきちんと書き込まれている。「あぁ、景子先生はこの場面がやりたかったんだな」という場面と、それ以外の部分の落差が激しすぎるんじゃ~!!
謎の老婆の杖に留まっている小鳥が動いたりとか、探偵の場面でわざわざ「ベイカー街」って壁に住所を貼り付けたりとか、そういう細かいこだわりよりストーリーにもう少しこだわっておくれよ~!!??って感じでしたねぇ…小鳥はかわいかったけどさ。

ただ、舞台美術やお衣装、そして音楽はとっても美しかったし素晴らしかったです!!
ウィングフィールドの薔薇園の場面や、ロンドンの雑踏、ヴィッカーズ社のオフィス。
どれも19世紀末英国!という雰囲気がとてもよく出ていて、ヴィクトリア朝時代の英国好きとしてはも~たまりませんでした…そしてお衣装!!これがまた最高!!フロックコートとバッスルドレスを愛してやまないオタクなので、「Time is Money」の場面は大興奮でした!!ありがとう、ありがとう衣装の有村先生と衣装部の方々!!!
あと音楽もとっても素敵でしたね~。どの曲も旋律やハーモニーがとっても美しく、ちょっとセンチメンタルでぐっときました。
ストーリー的には「ウーン…」でも、視覚・聴覚的に楽しめる舞台だったのはとてもありがたかったです。

正直、素晴らしい芝居心と演技力をお持ちの明日海りお様の退団作としては勿体なさすぎる脚本でしたが…景子先生の「ハンナのお花屋さん」はすごく良かったのに、大事な大事な作品でどうしてこうなっちゃったのか悔やまれますが…でも主要人物の誰かが死んで悲しく終わる、とかよりは良かったかな。ラストシーンの美しさに少しは救われたような気持ちです。
さて、以下はキャスト別感想~。


☆エリュ@明日海りお

こ、こんなペラッペラなお役なのに何て素敵なお芝居をされるんだろう…;;;;;と色んな意味で泣けました。
みりおさんのあの美貌、そしてストイックすぎるほどの舞台への探求心と気高さ。「薔薇の精」というファンタジーな設定がしっくりきてしまうのも納得なのに、脚本の内容が薄すぎて…やっぱり勿体なかったなぁぁ…。
みりおさんが長年磨かれてきたスーツや燕尾服での男役芸はショーで堪能できたから、「薔薇の精」って役柄についてはまぁよしとするにしてもだよ。トップスターで!!それも大事な大事な退団公演なのに!!!ただ舞台に立っているだけ、みたいな場面が多いのはどーーーなのケイコ!!!!!先生!!!!!
まぁそんな立ち姿一つとってもお美しいし、歩いているだけでも本当にお美しいなぁ、優雅だなぁ…と惚れ惚れしましたけども。でもやっぱりみりおさんが宝塚の男役として舞台に立つ最後の作品なのだから、もっと深みのあるお芝居が観たかったなぁというのが正直なところです。

と、脚本への不満たらたらで観劇していたのに、最後の最後でハーヴィーに「君なら、この庭に素晴らしい花を咲かせられる、必ず」と話す台詞でべっちょべちょに泣いてしまったという…うう、あんな台詞ずるいよ~;;;;;
あの一言の台詞のためにここまでの90分があったんだろうな~と思うと何とも言えませんが、観られて良かったなとも思います。

みりおさん、今まで沢山のときめきと感動を舞台から客席へ届けて下さって本当に、本当にありがとうございました。
初めて「エリザベート」であなた様の姿を観た時の衝撃と感動。思えば、今の私のヅカオタライフはあの舞台から始まりました。
そして「ポーの一族」…幕が上がり、センターに背中を向けて立っていたエドガーの姿。背中を向けて立っている、それだけで鳥肌が立ったあの感覚。そして歩いている姿を見て胸がいっぱいになり、涙が溢れたあの感動は一生忘れないし、永遠に私の宝物です。
出会いに心からの感謝を。
大千秋楽のその日まで、輝きを増し続けるみりおさんを応援しております!!


☆シャーロット@華優希

可愛かった!!
トップ娘役お披露目作品で少女から老婆まで演じるって中々ハードでは…と思いましたが、どの時代もきちんと演じ分けできていたと思うし、お婆さんになってからエリュと再会する場面は泣けました;;;
なにしろ台詞が良かった…「心の奥にあなたがいたから、生きてこられた」という台詞はみりおファンの心の代弁になっていたと思うし、こんなに深い声も出せる方だったんだなぁと驚きました。
お衣装も可愛かったな~…白いバッスルドレスはとっても綺麗だったし、少女時代の花柄ドレスも、喪服の黒いドレスも可愛かった…途中で下着姿になるところはびっくりしたけど、あの時代の下着にも萌えるオタクとしてはドロワーズが見られて嬉しかったですね!!

ダンスと歌はお世辞にも上手いとは言えないし、何かと叩かれがちな娘役さんではありますが…彼女のお芝居は好きなので、これからも頑張ってほしいなと思います。


☆ハーヴィー@柚香光

すっげーー普通の人だ!!とびっくりするくらい普通の人を演じているれいちゃん(柚香光)が新鮮でした…!!
いや、直近で観てるのが花男の道明寺とCASANOVAのコンデュルメルで、どっちも濃かったから…(笑)
でもこういう普通の人って派手なビジュアルや勢いでは誤魔化しが効かない分、役者としての力量が試される役でもあるのかなと思います。
そしてそんな役を、丁寧に、温かく演じているれいちゃんの姿に胸が熱くなりました…素敵な男役さんになられたなぁ~;;;;

しかしニックおじさんのマイティ(水美舞斗)とも絡むかと思っていたら、台詞での回想だけだったのはちょっと残念だったな…れいまいで甥っ子とおじさんとか萌えるな~!と思っていたので(笑)
でもみりおさんとのデュエット曲は素敵だったし、最後の握手のシーンはすごくすごく良かったし。青いフロックコートの衣装もとても良く似合っていて素敵でした!!れいちゃんには青がよく似合うな~。いや、赤も黒も似合いますけど、何たって元がよろしいから…。

みりおさんから花組を引き継いで、れいちゃんがどんな素敵な花を咲かせるのか。
これからも見守っていけたらいいなと思います。


☆ヴィッカーズ社長@瀬戸かずや

あきら(瀬戸かずや)のおひげ×フロックコートは最!!!高!!!だな!!!!!!と改めて思いました。
いやホント、スーツも似合うけどフロックコートも滅茶苦茶似合う~;;;ほんとイケオジあきらのビジュアル、最高にカッコ良くて大好きです;;;;
やり手社長って役柄も似合いすぎて「わ、分かるwww」感満載でしたが、もっと嫌味な人間に描かれているのかと思ったらそうでもなくてちょっとびっくりでした。設定を確認したら父親から事業を引き継いだ2代目社長だそうで、そういうプレッシャーもあって仕事人間になってるって感じなのね。なるほど。
「Time is Money」の場面はとにかく華やかだし、曲も素敵だったし、フロックコート祭で滅茶苦茶楽しかったです!!
しかしヴィッカーズ社の社員、若いイケメンだらけで社長は顔で雇ってんのか!?て思っちゃった…www目の保養だったのでいいんですけどね!!


☆ニック@水美舞斗

庭師役だったので衣装は地味だったものの、素朴で温かな雰囲気がとっても良かったです!!マイティの爽やかな笑顔がとっても眩しかった…!!
雇い主の奥方に叶わぬ想いを抱いている…というちょっと切ない役でしたが、その奥方・フローレンス役の城妃美伶ちゃんとのお芝居が凄く良かったです。つい差し出しかけた手が届かないのがさ~切なくてさ~!!短い場面だけど、あの何とも切ない表情やお芝居があったからこそ、ニックの想いがハーヴィーに受け継がれていったんだろうなと。
フローレンスが描いた絵を、生涯宝物にしていたっていう話も素敵だったな~。
あ、あと薔薇をエア剪定(笑)している姿も良かったです!庭師の動きをすごく研究されたんだろうなぁ…めっちゃカッコ良くてたくましい背中でした。惚れる。


☆フローレンス@城妃美伶

とっても美しくて気品あふれる奥方様であらせられました;;;;
作品の中で彼女は「幸福の象徴」だったのかなぁ…穏やかで、優しくて、笑顔が似合う女性。そんな素敵な女性をしろきみちゃん(城妃美伶)がとても魅力的に演じていて凄く良かったです!!
彼女も本当はニックに惹かれていたのか、それとも深い信頼があっただけなのか…つい深読みしたくなるような、ニックとの関係性も素敵でした。
お花のついた白い帽子と、淡い紫のドレスも似合っていて綺麗だったなぁ………エーーーーン退団寂しいよぉぉ;;;;;
しろきみちゃんのお芝居も歌もダンスも全部大好き…なので退団はとてもとても寂しいけど、最後のお役が素敵な役で良かった…!!しろきみちゃんが美しい花娘として舞台に咲き誇る姿が見られて幸せです!!寂しいけど、最後まで応援し続けます…エーン…!!


最後に、印象に残った方々を箇条書きにて~。

●羽立光来氏の存在感がやっぱりびっくすぎるwww演じているのはコッテコテの成金男って感じなんですが、あのクルンとまるまった前髪がソーキュートすぎました!葉巻がまたよく似合ってて良かったし、最後の妖精姿とのギャップがまた最高でしたwww

●役名の「Misterious Lady」ってなんやねん…と思っていた乙羽映見ちゃん、ピノキオのブルー・フェアリーみたいでとっても素敵でした!!ドレスも綺麗だったし、歌声が本当~に素敵で;;;退団されてしまうのが惜しまれますが、美しい歌声を本当にありがとうございました!!

●帆純まひろくんの出番が多くて嬉しかった!!ハーヴィーのれいちゃんとずっと一緒にいるし、にこにこ見守ってしまいましたわフフフwww

●ドレスがめっちゃくちゃ好みで目で追ってしまった方がいたんですが、お顔を確認したら春妃うららちゃんで「ドレスだけじゃなくてお顔まで可愛い!!」と心臓撃ち抜かれました…青いドレスがとっても似合ってて素敵だったし、こんな奥さん私も欲しいってなったわ…。

●9歳のシャーロットを演じた都姫ここちゃんがやっぱり滅茶苦茶可愛い…花男の時にめっちゃ可愛い子だなと思ったけど、改めて見ても可愛い…花組は私好みの娘役さんが多いので今後も楽しみです(笑)

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