2019年2月6日

エリックの手紙とキャリエールの話

※以前ぷらいべったーに掲載した文章の再掲です

ふと思ったんですけど、エリックって何で「ファントム(怪人)」として手紙を書くようになったんですかね?

原作小説は未読なので分かりませんが、ARW版「オペラ座の怪人」だと怪人は自分の思い通りにオペラ座を動かすため、脅迫めいた手紙を支配人に送り付けてました。「5番ボックスは私の席だから空けておけ」とか「私に給料を払え」とか。
で、その要求に従わないと何かしらの不幸やトラブルが起こるので、オペラ座支配人は要求に従ってた様子(改めて文章にすると完全に恐喝だねコリャ)
「ファントム」でも手紙が届くシーンは登場するけど、「オペラ座~」とは支配人と怪人の関係が全く違うのでそもそも手紙を送る意味ってある?と疑問に思ったわけです。
だって何か要求があればキャリエールに直接頼めばいい話じゃないですか。
実際、「ファントム」では給料を要求する描写は出てこないですよね。ということは、エリックと従者たちの衣食住をまかなう資金(給料)はキャリエールが直接エリックに渡している=手紙で要求する必要はない、と考えられる。

あと怪人からの要求といえば、オペラ座で上演する演目や配役について口出しするってのがあります。
「ファントム」でも支配人が変わってからは、カルロッタへのクレームが新支配人ショレ宛に手紙で届くようになった描写がありますね。
これはまぁ、キャリエールの時みたいに直接話せないから手紙を使ったんだなって分かるんですけど…問題は、キャリエール支配人時代に何でわざわざ手紙を書き、天井から落として届けるようなことをしてたのかってことです。
ここでポイントになるのは、手紙を届ける際にあえて自分の存在をアピールする方法をとっていることだと思います。

「宝塚GRAPH(2019年2月号)」に掲載されていた望海さん・彩風さん対談で、「エリックとキャリエールはオペラ座の上演演目やキャスティングも話し合っていたのでは」というようなお話がありました。
これはあくまでお二人の解釈の話であるとは思うのですが、仮にそうだったとするとエリックが手紙を送り始めたきっかけはキャリエールへの反抗心だったのかも?と思いまして。
たとえばですが、上演演目の話し合いでエリックとキャリエールの意見が対立したとする。最終的な決定権はもちろんキャリエールにあるので、エリックの意見は通らない。それにどうしても納得できないエリックが、「ファントム」として上演演目についての要望を手紙を書き、団員たちが集まっている場に届ける…とか。
元々「オペラ座には幽霊がいる」という噂があったところに、幽霊を名乗る人物から手紙が届いたら不気味だし、予定してた演目を不吉に思う団員もいるかもしれない。
一方のキャリエールも、まさか自分の息子のいたずらですと言うわけにもいかないし。怯える団員たちを落ち着かせるためにも、まったく困った子だなぁと思いつつもエリックの意見に従った…なんてことがあったのでは~!?

つまりエリックは、自分の意見や要求を通すのに団員たちを味方につけようと手紙を送っていたのでは?という妄想です(笑)
いやなんか、そうだったら可愛いなって…だってこれ、お父さんと喧嘩した息子が母親を味方につけようとしてるような構図ですよ。
本気で怖がってた団員たちにしてみたら人騒がせなことこの上ないけれども、根っこがただの親子喧嘩だったのではと思うと微笑ましいというか、はちゃめちゃ萌える(笑)

これでもしキャリエールが悪人だったら、ファントムをスケープゴートに仕立てて自分の思惑通りにオペラ座を動かしていた…なんて可能性も考えられるけど、そんな策略ができるほど器用な人でもないし。そもそもキャリエールからしてみたら、エリックの存在自体あまり人に知られたくないわけですよね。エリックを守るためにも、オペラ座の地下深くに住まわせてたんだろうし。
だとすれば、やはり手紙はエリックが自主的に書いて届け始めたものではないかと思うわけです。
キャリエールの悩みの種は増えたかもしれないけど、エリックとしては自分の意思を示す方法が増えて、多少生きやすくなったのではないかな…そうだったらいいな。あえて手紙でワガママを言ってくる息子に困りつつも、しょうがないなぁと要求を飲んでしまうパパも親馬鹿で可愛くないですか…はぁ。

あと細かすぎる萌えとしては、エリックに文字や文章の書き方を教えたのはキャリエールだったんだろうなぁということ。
自分が教えたことがこんな風に使われるとは…と頭を抱えるパパにも萌えます。
はー、「ファントム」の父子はホンッッット良いものですね!!夢広がる!!