2019年8月14日

雪組「Music Revolution!」感想

「あ、中村B先生だわ」って感じのショーでした。
終わり。

ってだけだと、さすがに後から自分で読み返しても何のこっちゃ?となりそうなので(笑)
うーん何だろうな、B先生のショーって色んな生徒さんに見せ場を作って下さるところは好きなんですけど…個人的には萌えないショーだったんですよね。
んで、何で萌えなかったのかなぁ?と考えてみた結果、

●衣装…全体的に地味だったなぁと。ド定番のガウチョや黒燕尾は良かったけど、このショーならではって衣装が私の好みではなかった。
●構成…単調。組子たちの歌やダンス技術は滅茶苦茶高いのに、見せ方がワンパターンなので場面が変わっても新鮮味が無く感動が薄れる。セットや盆もあまり使われてない…というか、平場で大人数でのダンス!ばっかりだったような。
●音楽…だいきほの!歌を!!もっと聞かせて!!!ください!!!!
●テーマ…「音楽の起源から今日に至るまでの発展」ってどの辺が???という感じ。全体的にストーリー性が感じられなかったのも単調に感じた原因かな~。
●絡み…これは最後に。

って感じでした。
一場面ごとで見れば悪くはないけど、全体を通して見ると面白みに欠けてたなぁ。ちょっと前の雪組ショーで似たようなの見たなって思う場面もあり…今の雪組を知り尽くしているB先生だからこそ、舞台の見せ方を工夫してほしかったなとも思います。まぁ好きな組だから何度見ても楽しめるんですけどね!!(逆に好きな組でなければ、一度で充分なショーでした)
ただこれは私の好みの問題なので、「ミュレボ大好き!!」って方が沢山いるのも分かるし、全力で歌って踊ってキラキラしてた雪組の皆さんは素晴らしかったです!!

以下、場面ごとに印象的だった部分の感想を書きます(組子は褒めるけどショーにはケチつけまくってるので、ミュレボ大好きって方にはお勧めしないよ)


●プロローグ

初見時、2階1列目で観劇だったんですけども。
だいもん(望海風斗)、さきちゃん(彩風咲奈)、カチャ(凪七瑠海)の3人がセリの上から登場だったもんで、「目線に近い高さだヒャッフー!!」とつい欲望のままさきちゃんをオペラでロックオンしてしまい、他の組子がどこから出てきたのか分からなかったという失態を犯しました…w
で、2回目観劇時にちゃんと全体を見たら、セリの中からどんどこ男役スターたちが現れてくるという!!この始まり方は良かったと思います。
ただ衣装がね…黒×銀の組み合わせってかっこいいけど色味としては地味よね…。背景のステージも暗めだったから余計に黒い衣装が沈んじゃって。どちらかでもっと明るい色を使っても良かったのでは?と思いました。

このプロローグで個人的に「おっ!」となったのは第4場(Love Revolution!)で、舞台後方のお立ち台?で歌ってたケンジ(ゆめ真音)とありす(有栖妃華)。
ケンジくんは、さきちゃんのブリネクで料理上手かつ気配り上手な面を見てから気になり始めた方なんですけど舞台技術も高いんですよね~!特に歌とお芝居が好きなんだなっていうのがよく伝わってきて、これからも楽しみな男役さんです。なのでプロローグで歌の場面をもらっているのを見て嬉しかった!!
ありすちゃんは「ファントム」のビストロ場面で美声を聞かせてくれた歌うま娘役さん!本当に伸びやかで澄んだ歌声なので、もっと活躍してくれると嬉しいし具体的には新公ヒロ来て欲しいなぁと思ってます…わたしゃ歌が上手い子が好きなんじゃよ…。


●革命と独立(ガウチョとスペイン兵)

宝塚のガウチョ衣装大好きマンなので凄く楽しみだった場面。
しかもあーさ(朝美絢)を中心としたスペイン軍と対立する設定、と知って「やったー!だいもんのガウチョと一緒にあーさの軍服も一緒に観られるとかラッキー!!」とか思ってたんですが。

なんか…踊ってるだけだったなって…。

いや、ビジュアルも歌もダンスも良いんです。だいもんや翔くん(彩凪翔)たちのガウチョ姿はとっても美しいし、だいもんの歌はいつも通り最高だし(♪革命のよぉ~るぅ~!!のところなんて最高オブ最高)
セリの上で一列に並んだあーさやひとこ(永久輝せあ)たち軍服集団もめっちゃかっこ良くて壮観でした!!

…んだけど、もう少しストーリー性が欲しいよ~~~!!

折角「スペイン軍とガウチョたちの争い」という設定をつけたなら、その設定をもっと活かしてほしかった!!
一場面の中にざっくりでも起承転結がないと、何かぼんやりした印象に終わっちゃうんだよなぁ。
きいちゃん(真彩希帆)も一応「恋人」って役名になってる割には、だいもんと濃密に絡むってわけでもなく…スカステのナウオンステージでも、きいちゃんの「私、あの場面で『恋人』ってお役で」という話に、だいもんが「え、そうなの?」て反応してたよね。設定がまるで活きてないじゃーん!?って引っくり返ったわ。

「スペイン軍の支配に怒りを募らせるガウチョたち→革命勃発→傷つきながらも自由を勝ち取ったガウチョたち」
って分かりやすいストーリーをつけてもらえば、もっと盛り上がったのではないかなぁ?
ド定番な展開ではあるけど、スペイン兵あーさに襲われたガウチョだいもんを守るため、恋人きいちゃんが身を呈してかばう→だいもんの腕の中で息を引き取るきいちゃん、その後ろでは自由を勝ち取ったガウチョたちが凱歌を上げる…とかね。
設定は悪くないのに、それを活かし切れてないのが何とも勿体なく感じる場面でした。

あ、でもガウチョの歌い手がにわさん(奏乃はると)、つばさくん(天月翼)、たっちー(橘幸)だったのは良かったと思います!
でもどうせならスペイン兵側も歌った方が、対立関係も際立ったのではとか色々考えちゃう…歌うまのあみくん(彩海せら)とかもいたのだし。うーん…。


●Jazz Sensation!

さきちゃんを中心に、男役も娘役も踊りまくる賑やかな場面。
さきちゃんのジャズナンバーは歌もダンスもかっこ良かったし、ハードな振り付けをキレッキレのダンスで踊る雪組生も皆かっこよかった~!!
ブライアント先生の振り付けは男役も娘役もかっこいいですね。クール&クールって感じで大人っぽい雰囲気がジャズと合ってて良かったです。
そして叶ゆうりくんとヒメさん(舞咲りん)のデュエットの安心感よ…(笑)

…ただすみません、衣装がね~好みじゃなかった…!!
アースカラーのスーツorドレスにソフト帽って組み合わせは良いなと思ったんだけど、ペインティングが目立ちすぎてて何か気が散っちゃって。
あれがお洒落というものなんだろうなぁとは思いつつ、これはもう好みの問題だからしょうがないな!萌えないもんは萌えねぇ!!好みが合わず残念です!!


●Classic World(中詰め)

大人数で踊りまくる(だけの)場面が続くため、中詰め特有の「雪組勢ぞろい!壮観!!」感が薄れてしまったような…。
選曲もショパンの「革命」以外は「Music Revolution」との繋がりもあまり感じられず、とりあえず有名なクラシック曲を繫げましたって印象でした。
曲名でなくても、ベートーヴェンの「英雄」とか、チャイコフスキーの「1812年」とかフランス革命に縁がある曲を選んでも面白かったのでは?ラ・マルセイエーズのフレーズがちょっと流れたら、革命っぽさは滅茶苦茶出たと思うんですけど(笑)
とはいえ、あーさのソロ歌唱が凄く良くて益々力をつけてる様子にワクワクしたり、さきちゃんがソロで踊るところの振り付けがかっこいいのに最後の「ガオー!」が可愛くて癒されたり、だいもんのすんばらしい巻き舌にしびれたり、きいちゃん始め娘役たちの髪型や髪飾りが可愛くてキュンとしたりと楽しめる部分も勿論たくさんありました!
客席降りもあるし、何だかんだ言いつつ中詰めは盛り上がりますね。

…まぁ、この衣装も萌えはしなかったんですけどね!!
カラフルで可愛いから娘役は良かったんだけど、男役は…どうなんですかね、あれ…。


●Dance Revolution!

雪組精鋭ダンサーズの中に放り込まれてしまったひとこちゃん…という印象もある(笑)とにかくダンスがどえらい場面。
今作で退団するジジくん(凰華はるな)もしっかり見せ場を貰っていて良かったですね!!かっこ良かったよ~ジジくん!!
にしてもあんな大人数で、ひたすらフェッテで回り続けるってさぞかし大変なんだろうなと素人ながら思いました。
回転速度も調整しなきゃだし、靴だってヒールがついた靴で…皆千秋楽まで怪我無く終われますように!
この振付をつけたKAZUMI-BOY先生も凄いし、踊り切った組子たちも本当に凄い…!!
あ、あとこの場面が始まる時のひとこちゃんのソロ歌唱も良かったです!声が以前より伸びやかになったな~と感じました。
だいもんがトップになってから、雪組生の歌唱力が全体的に上がっているのをひしひしと感じます。すばらしきかな…。

しかしジャズ~中詰め~ダンレボと平場で踊る場面が続く+背景がやっぱり暗いのでどうにも地味に見えてしまったのが本当に残念。
やってることは!本当に凄いんだから!!もっと華やかに見えるように舞台を作ってほしい~!!


●Music is My Life

あれ、これ「Dramatic “S”!」の絆の場面リプライズ?
って思った方、多分他にもいらっしゃるのでは…???
衣装の色こそ薄緑から白に変わっているものの、全体的なシルエットとか雰囲気とか…物凄い既視感(笑)
だいきほの歌うナンバーは良い曲なんだけど、雰囲気といい真っ白な衣装といい、退団公演みたいでモヤモヤしちゃいました。歌は良い、歌は良いんだけど演出の仕方がさ~…!?
だいもんとカチャとあゆみさん(沙月愛奈)の絡みも同期愛を感じられて微笑ましかったですが、やっぱり退団公演みたいだし。
なんだか内輪受けっぽい印象もあって、個人的には今一つな場面でした。


●フィナーレ

え、もうフィナーレなの?ってびっくり。最初から最後までずっと踊ってただけでは…メリハリとは…。
えーと、ロケットは何の印象も残ってないのですが、その後のきいちゃん、カチャ、娘役たちのナンバーは素敵でしたね。
このトップ娘役を中心にした娘役たちのナンバーも凄くB先生らしいなと思いますが、今回は男役のカチャが参加してたのがちょっと新鮮だったかな。

で、その後に男役たちの黒燕尾!!イエーイ待ってました!!
大階段にずらっと並んだフォーメーションが綺麗だったし、黒燕尾の総踊りって有無を言わさぬカッコ良さがあるし満足感があるんだよな~。
黒燕尾の男役が放射状に並んで片膝を付き、中心でだいもんが踊る振り付けが印象的でした!あのトップスターに皆がひれ伏すかのような並び、しびれるわ~!!

しかしフィナーレで使われてる曲がティコ・ティコだったのにはびっくりした!いや、曲っていうより歌ったことにびっくり!!
よくあの速さの音程取れるなってのとよく口が回るなってのと…すごいなぁ。
…ただ別に頑張ってこれを歌わなくてもよかったのでは??と思わなくもなく。というのもテンポが速いから折角の歌詞が頭に入ってきにくくて勿体ないなぁって!
あれなら無理に歌詞をつけず、由紀さおり&安田祥子の「トルコ行進曲」みたいに音だけ出す歌い方でも良かった気がする。

あ、デュエットダンスがとても上品で美しかったのは良かったな~お衣装も素敵でした!
最後のポーズがまたね!きいちゃんが、自分のイヤリングとだいもんの上着のボタン飾りを「見て見て!お揃いなんです☆」と見せてくれてるようにも見えてとても可愛かったですw


というわけで全体的に歌もダンスも物凄くレベルが高いものを見せて下さってるのに、どうにも地味に感じてしまったショーでした。
宝塚のショーやレビューってコース料理のようなものだと思うんですよ。あれって最初から最後までお料理を楽しめるように、出てくるメニューごとに味付けや素材を変えて構成されてるじゃないですか。以前、どこかで「コース料理はシェフが考えた物語のようなものだ」という話を聞いたんですが、前菜、メイン、デザート、コーヒーって流れは確かに物語の起承転結っぽいなと。
それと同じで、ショーも場面ごとに違う魅力を味わった上で全体の流れを楽しみたいんです。
ミュレボはなんか、プロローグは天丼!次に牛丼!その次は親子丼で、中詰めは海鮮丼!!って印象でした。載ってる具は違うけどずっと丼物じゃん!!って感じ…伝わりますかね。
良く言えばダイナミックでボリューミー、悪く言えばおおざっぱで大味。

あとさ~、折角劇団屈指の歌うまコンビだいきほのショーなのだから、2人がガッツリ組んで歌う場面をもっと見たかったんだよね…。
あの2人ならブロードウェイっぽい場面を用意しても良かったのでは?だいきほがジャズを歌って、若手がタップダンスして~とか…いいと思うんだけど。
「Music is My Life」の場面で歌ってはいるけど、あの場面は89期がメインに見えちゃったし。
あ~やっぱり勿体ない!!雪組にはあんなに良い素材(スター)が揃っているのに~!!!もっと色とりどりで素敵な料理に仕上げて下さいB先生~!!!!


おまけ
●絡みについて

…お芝居の方でも思ったことですが、この公演にカチャを出す意味ってどれだけあったんだろーかとショーを見ても思いました。
私がのぞさき萌えしているからなんですけどね、どうしても「この場面、カチャが出演しなければのぞさき並びだったのかな…」とか考えてしまって。同期で共演したいっていうだいもんの夢が叶ったのは喜ばしいことですが、それはそれとして!!
だってさー、次回はのぞさきって別々の公演だし、大劇場も一本物でショーはないじゃん!?あと何回この2人の並びの作品が見られるかわからんのよ!?
私は!のぞさきが見たくて!!雪組公演のチケットを頑張って取ってるんですよ!!!(笑)

同じようにさききわ萌えしてる方なら、プロローグでカチャきわではなく、さききわの並びが見たかっただろうな~…なんて思ったり。ひらめちゃん(朝月希和)の組み替えが決まった今となっては余計に、ですよね。
スターが足りない公演であれば路線系専科を公演に参加させる意義はあると思いますが、この公演がそうだったとはどうにも思えなかった。
カチャが悪いわけではないし、東上主演もされてる方だから出番が多くなるのも分かる。
でもやっぱりモヤモヤしてしまうのはどうしようもないんだわ!!人間だもの!!

そう考えると、「ひかりふる路/SUPER VOYAGER!」の時のコマさん(沙央くらま)の使われ方ってとてもバランスが良かったのかも…。
お芝居でもショーでもしっかり存在感を示しつつ、組子の出番を奪っている印象は受けなかったんだよなぁ。特にショーなんて中詰めにも出てないんだけど、他の場面で見せ場がしっかり用意されている(+エトワールだった)から軽く扱われてるようにも見えないし、「DIAMOND SHOW TIME」から「SAILING DAY」の流れなんて本当に素晴らしかった。同じ「出航」でも見せ方の違いでこんなに対照的になるんだな~って感動したもんな。
元々雪組生だった方だから、雪組公演でご卒業っていうのも納得だったし。

願わくは、次々回の大劇場公演で雪組の爆萌えショーが見られますように…はぁ。

2019年8月1日

雪組「壬生義士伝」キャスト別感想

※作品全体の感想は前記事に書いております。

☆吉村貫一郎@望海風斗

かっこ良かった…!!幕が下りた時、素直にそう思いました。
でも思い返してみると、宝塚のトップスターとは思えないほど衣装は地味だし、気障な仕草も台詞もないし、腰も低けりゃ身分も低い。剣の腕は立つけど、みっともないほどの守銭奴でどう見ても二枚目キャラって感じではない。それでも、彼が何のために必死でお金を稼ごうとしたのかという理由は痛いほど伝わってきたし、一番大切なものを守るために文字通り命がけで戦った生き様には胸を打たれました。何ていうか、反射的に「かっこいい!」とテンションが上がるというよりは、心に沁みるかっこ良さなんだなぁ。
そしてそんな不器用ながらも真っすぐに生きた貫一郎をさぁ…全力で演じて下さるわけですよ、あのだいもん(望海風斗)が…泣くわそんなん、号泣じゃわ!

全体感想の方にも書いたけど、宝塚版「壬生義士伝」は手放しで「最高!」と賞賛できる作品ではありませんでした(※個人の感想です)
それでも涙なくしては観られなかったのは、ひとえにだいもんの熱演があったからこそだと思います。
芝居の緩急の付け方がね、本当に上手いんですよね~!!特に印象的だったのは、油小路事件でどさくさに紛れて谷三十郎を殺したのが斎藤一だと気付く場面。あくまで柔らかな物腰のまま理詰めで斎藤を追い詰める様は切れ味の鋭い刃のようなのに、口止め料を要求する姿は「やっぱり金かい!」と思わず突っ込みたくなる緩さがあるんですよ。落語家の桂枝雀さんは「笑いとは緊張の緩和である」という話をよくされていたそうですが、この場面は正にそんな感じ。
まぁやっていることは強請りなんだけどね!!(笑)
「おもさげながんす」とへりくだりながらしっかり大金を受け取ってる姿が何ともおかしくて可愛かったし、貫一郎をただの卑しい男には見せないだいもんの品の良さと芝居の巧みさはさすがの一言でした。

一方で、殺陣の場面は滅茶苦茶かっこ良くてな~!?
剣術のことはさっぱり分かりませんが、重心を低く刀を構えた姿は見るからに強そうだし、動きは滑らかで無駄がなく、剣筋は速く美しい。加えて敵と対峙した時のあの殺気と気迫ね!!フゥ~!!!
「剣の達人」という設定に負けない見事な殺陣でした。ほんとかっこ良かった~!!

何というか、吉村貫一郎って見る人によってかなり印象が異なる人物だと思うんですよね。
まぁ人は誰しもいくつもの顔を持つ…なんてよく言うし、会社や学校での顔と、家庭での顔が違うなんてのはよくあることだけども。
貫一郎の場合は、貧しい下級武士としての顔、学問に優れた先生としての顔、剣の達人であり人斬りとして恐れられた顔、常に金勘定を忘れない守銭奴としての顔、そして家族を愛する父としての顔、と色々あって。そのそれぞれの顔が、その場その場で全部正直に出てきてしまうんじゃないかな~と。不器用でごまかしが利かない人なんでしょうね。
そんな多面的、かつ癖のある人物をあれだけ魅力的に演じられるだいもんはやっぱり凄いなぁ…。そして南部訛りをしっかり出しつつも活舌の良さは健在という(笑)

でもお芝居上手だからこそ、最期の場面は本当に本当に辛かった;;;;;
ボロボロに傷つきながら、懐から零れ落ちた小銭を数えて、子供たちやしづにあれを買ってあげよう、これを買ってあげようと夢想する姿がもう見てて辛すぎて…さぞかし無念だったろうなぁ。
宝塚のお約束発動のお陰で、ラストシーンではしづと並んで立ってくれたことに何だかホッとしました。

しかしな~とてもとても良いお芝居を見せてもらったのはありがたい限りなのですが、そろそろ紛うことなくハッピーエンド!!を迎えるだいもんを大劇場で見たいよ~~!!!劇団様お願いだよ~!!!!(でも次作もギャングものだから望み薄いよね~!!つっっら!!!)


☆しづ/みよ@真彩希帆

生活は苦しくても夫と家族の愛に恵まれたしづと、裕福ながら想い人には振り向かれないみよ。
辛抱に辛抱を重ねて必死に生きるしづと、商家の娘として明るく快活に生きるみよ。
静と動、影と光のようなどこまでも対照的な二人の女性を、見事に演じ分けていたきいちゃん(真彩希帆)はさすがでした!!
…折角二役を演じるのだから、しづとみよがそっくりという設定をもう少し活かす脚本であってほしかったな…とは思うものの、これはきいちゃんのせいではないからね…!!言っても詮なきことですな…。

でもようやくだいきほが相思相愛の夫婦を演じる姿を見られたのは嬉しかった!
貫一郎がしづに求婚するところなんて本当~に可愛くてさ…あんな初々しいだいきほ、この作品でないと見られないぞ(笑)
できることならもう少しだけでも、幸せな二人の姿を見ていたかったなぁ。しづが心底幸せそうなのってあの場面だけなんだもの…。
貫一郎が命を落とす場面で、銀橋を歩いていたしづの鼻緒が切れるのと貫一郎の絶命をかぶらせるのはベタな演出ながら分かりやすくていいとは思うものの…やっぱりしんどい。

もう一方のみよは明るく元気なきいちゃんが見られて、これはこれで良かったです!
でもお見合いの後のホタルの場面はやっぱり辛いし、結局こっちもしんどいのがな~!!なんともな~!!つらっ!!

だいきほが歌う「石を割って咲く桜」がとにかく素晴らしかったのが救いだわ…。
とはいえ2人でガッツリ歌っているというわけではないので、貴重な歌うまトップコンビの歌声をもっと活かしてほしかったな~というのも正直なところ。

次作はだいきほのデュエットナンバーでガッツリ聞かせてくれると嬉しいな!!
あとできれば最後までどっちも死なない役だともっと嬉しいな!!(笑)


☆大野次郎右衛門@彩風咲奈

しんっっっっっど!!!え、一番しんどい役回りじゃないこのお役!?
と予習で映画版を見た時に思いましたが、舞台で観てもやっぱりしんどかった…さきちゃん(彩風咲奈)が台本を読んだ時点で辛かったってお話しされてたのも滅茶苦茶分かるわ…。
この作品、とにかく「武士として」の建前があるために本音を言えない侍たちが沢山出てくるけれども、その最たるが次郎右衛門くんだと思うんですよ。
家の事情で幼馴染の親友とは身分違いになってしまい、大野家では妾腹の子として肩身の狭い思いをし、それでも出世して大阪蔵屋敷の差配役(今のイメージだと支社長かな?)にまで上り詰めたのに、その立場ゆえに親友に切腹を命じなくてはならなくなるという…エッ辛すぎでは!?
「ファントム」のキャリエールも辛い役どころだったけど、あれはまぁ身から出た錆でもあったからさ…。
それに対して次郎右衛門くんは本人に落ち度があるわけでもないのに、何でこんなことに~!?

と何とも辛いお役を、堂々と演じきったさきちゃんの姿に観劇中何度も泣かされました;;;
さきちゃんのお芝居はとにかく愛に溢れているところが好きなんですけど、その愛が表に出ている時もいいし、表に出ないよう抑えている時もいいんですよ…はぁ。
今回だと、貫一郎の脱藩を引き留めようとする場面は幼馴染への親愛が溢れていてグッと来たし、逆に貫一郎が蔵屋敷に助けを求めてきたのを叱咤する場面では、家臣たちがいる手前厳しくせざるをえない次郎右衛門の辛さが伝わってきてやっぱりグッと来ました。そんで家臣たちを下がらせた途端に声が優しくなるのがまたたまらんし、「二人だけの時はジロエでいい」って何それ!?滅茶苦茶辛いシチュなのに、萌えが過ぎるんですけど…!?
握り飯の辺りももうさ…すんごい辛いんだけど、おにぎり握るさきちゃんには萌えるし、自害した貫一郎を見つけるところもやっぱり辛いけど、だいもんを抱きかかえるさきちゃんには萌えるし…ホントしんどみと萌えの振り幅が大きすぎて大変だったわ…。

あと序盤で道中手形を用意してあげるところもね!いいよね!!
貫一郎に「脱藩など許さんぞ!!」ってあんなに怒っていたのに、自分も切腹する覚悟でこっそり手形を用意してあげて、遠くから彼の無事を祈る姿がめちゃめちゃ泣けました…次郎右衛門~何ていい奴なんだ;;;;

貫一郎はなんだかんださ、惚れた女と結婚できたし自分がやりたいようにやって生きてたけど、次郎右衛門くんはずっと家のため、国のためと我慢を重ねた上に親友を死に追い込む業まで背負ってさ…何とか実のお母さんの前でだけは本音を吐き出せたのを見てホッとしたのも束の間、戦場で撃たれて退場…。

エッやっぱり辛すぎでは!?

さきちゃんの次郎右衛門、とても良かったけどやはりしんどみが過ぎるので、次作こそはだいもんと良好な関係を保ったまま終わって欲しいよ~!!結局今回もさきちゃんの片想いのまま死別しちゃってる感じだし!!
でもなぁ…ギャングだからなぁ…難しいだろうな~…(笑)


☆土方歳三@彩凪翔

かっっっっっこいい…!!!
いや、見目麗しいことは重々承知なれど、中身がまた滅茶苦茶かっこいい土方さんでした…!!
「鬼の副長」なんて二つ名?がついてしまっているせいか、土方歳三ってとにかく仲間に厳しくて怖いって描かれ方をされるイメージがありましたが、翔くんの土方さんは「副長って本来こうあるべきよな…」と納得できる人物像だったなぁと。
組織を統率するにあたって、先頭に立つリーダーの統率力は勿論重要だけど、後方から組織全体を見守るサブリーダーの観察力や気配りも凄く重要だと思うんですよ。
その点、「口では「めんどくせぇ」と言いながらも何事も面倒くさがらずやる人」というこの作品での土方像はとてもしっくりくるものがあったし、翔くんの力みのないお芝居がまた物凄くハマっていてめっちゃかっこ良かったです!!!
なんかこう、俯瞰的に物事を見ているお役を演じている翔くんが好きでして…かっこつけようとしていないくても、自然とにじみでる男前っぷりがいいんだなぁ(「誠の群像」の勝海舟とかとかとか)
貫一郎に金を取られた斎藤一に20両渡してあげるところ、すごく良かったなぁ…あのさり気ない切れ者っぷり。っか~たまらん!!
実に素晴らしい副長でございました!!ありがたや!!


☆斎藤一@朝美絢

最っ高っか…!!!!!!
「壬生義士伝」の斎藤一って、新選組時代はイキりヤンキー感(笑)が凄いと思うんですが、あーさ(朝美絢)は滅茶苦茶ハマってましたね~!!
「ひかりふる路」のサン・ジュストといい、顔は良いけどなんかちょっとやべー奴が本当にハマるんだよな…(褒めてます)

ただ斎藤一の場合、思春期の葛藤を抱えたままでいるというか、何のために生きているのかが分からない鬱屈を抱えているというか。出会ったばかりの貫一郎を「何か気に食わないから」ってだけでいきなり殺そうとするとか、完全にイキりヤンキーだよな…いや、刀で斬りかかる分その辺のヤンキーより何倍も物騒だけど。
そのせいか貫一郎との関係は、学園ドラマでよくある「学校一の問題児と先生」を見ているような感覚になったなぁ。狂犬系ヤンキーが、自分より器もでかければ実力もある先生に突っかかりながらも、段々と認めていく…みたいな。でもヤンキーだから態度はずっと反抗的なままだし、口では「あいつのことは大嫌いだった」とか言っちゃうっていう(笑)
剣の腕は超一流なのに、どこか反抗期の子供のような面のある斎藤一がどちゃくそツボでした!!

鳥羽伏見の戦いの際、自分が食べた握り飯が最後の一個で、貫一郎は食べていないと知った時の激昂シーンも凄く良かったなぁ。
あそこで怒るの理不尽すぎるんだけど(笑)、怒りながらも「お前は盛岡に帰れ」って言うのがね…もうグッときちゃうよね…!!良いお芝居を見せて頂きました…!!
殺陣もかっこ良かったな~!左手での殺陣は大変だったと思うけど、全くそんなことを感じさせないのはさすがですわ…。

あと歌唱力がまた上がったのでは?と今回感じました。お芝居じゃなくてショーの方でだったかもだけど。
あのビジュアルで、芝居心もあって、歌も歌えて…益々パワーアップしているあーさの輝きが見られてとても嬉しかったです!


☆沖田総司@永久輝せあ

あの美しいお顔で笑いながら「斬っちゃいましょうか?」って台詞は反則では!?
これが乙女ゲーだったら一斉に女子が釣れるところだ…(私もうっかり釣られそうだ…)とかそんなことを思わず考えてしまったよね!だって爽やかな笑顔で冷酷な面を見せる美剣士キャラってオタクが大好きなやつだものー!!!
しかもあの狂犬・斎藤一を「ハジメ君」って呼んで親しげな様子まで見せてくれちゃうんだからさ!そりゃー好きになっちゃうよね!!
というわけで(?)、ひとこちゃん(永久輝せあ)の沖田総司もとっても良かったです!!
ひとこちゃんのちょっと陰のある雰囲気がまた良くてな…天才剣士でありながら病魔には勝てなかった沖田の儚げなイメージと重なって、何とも良い味を出していたと思います。
かと思えば、永倉新八(真地佑果)や原田左之助(橘幸)としゃべってる時はお茶目で可愛いという…くっ、何て隙のない沖田総司なんだ!!

しかし本当に、顔面偏差値バリタカな新選組だなぁ…(笑)


☆谷三十郎@奏乃はると

面白すぎてずるい!!!!!!(笑)
剣の腕はさっぱりなのに、逃げ足の速さだけは天下一品。その上自分の不始末を部下に押し付けるという、上司には絶対したくないタイプの人間ですが、にわさん(奏乃はると)が演じると何かもう全然憎めない…!!www
油小路事件では殺される場面だというのに、味噌樽の蓋で応戦したり、敵には雑魚呼ばわりされてきょとんとしたりw
とてもコミカルなキャラクターだけど、変な笑いに走らないにわさんのお芝居がとても良かったです。
いや~でも身近にこういう人がいたら滅茶苦茶大変だろうな~…。


☆ひさ@梨花ますみ

なんかまだ組長って感じがしてならないのですが…(笑)
そんな感慨はともかく、とても良いお芝居で舞台を引き締めて下さったなぁと思います。
さきちゃん演じる次郎右衛門くんが何しろ辛い立場だったからさ、みとさん(梨花ますみ)が実の母として次郎右衛門くんを叱咤激励したり、慰めてあげたりする姿にホッとしました。
人前で泣けない次郎右衛門くんに「ここで泣いていけ!」と言うところは私の方が泣けましたわ…;;;;

さきちゃん主演の「ハリウッド・ゴシップ」にもご出演予定とのことなので、こちらでも素敵なお芝居が観られると嬉しいなぁ。


と、大分長くなってしまったので他に印象的だった方を箇条書きにて。

・あやな(綾凰華)の大野千秋は回想シーンが良かったな~!大野家は父も子も辛い役回りが多いけども、あやなの素直な演技が千秋の優しい性格をよく表現していたと思います。できれば嘉一郎とのエピソードをもっと見たかった。

・少女時代のみつを演じた彩みちるちゃんがとっても可愛い!!そして子供の演技がとっても上手!!小さい女の子に見えるよう、色々工夫しているのが感じられて凄く良かったです!!

・久城あす君の存在感が凄い(笑)話の展開上、よく分からないまま切腹させられてしまうという気の毒な役なんだけど、あの場面のあす君はとっても輝いていたよ…!ざんばら髪だったけれども!!

・りーしゃさん(透真かずき)の佐助も凄く良かった…下男という立場上、勝手なことはできないけど貫一郎のことも次郎右衛門のこともよく知っているからこそにじみ出てくる温かさがあって。佐助が次郎右衛門の側にいてくれて良かったなぁとしみじみ思いました。

他にも思いだしたら追記するかもしれません~。
とりあえず一旦ここまでで!