2019年5月14日

星組全ツ「アルジェの男」感想

※以前ぷらいべったーに掲載した文章の再掲です

2019年5月12日、星組全ツ「アルジェの男/ESTRELLAS」の神奈川公演を観てきたよ!
「アルジェの男」は初見だったんですが、主人公も二番手も悪い男ってことだけ頭に入れて観に行きました。

いやーーーー見事なKUZU男たちでしたね~~~!!!特にジャック!わっるい!!

初演が1974年とのことでやはり昔の作品っぽさはありましたが、見ごたえはあったし最後までハラハラドキドキしながら楽しめました。
一応あらすじを書くよ(後で自分で読み返す用なので読み飛ばしてOKです)


舞台は第二次世界大戦前、フランス占領下のアルジェリア。「いつか一流の男になってやる」という野望を抱く不良青年ジュリアン(礼真琴)は、ある日同じく不良でジュリアンとは折り合いが悪いジャック(愛月ひかる)から賭けを持ち掛けられる。それはアルジェリア総督ボランジュ(朝水りょう)の財布を掏れるかどうかというもの。ジャックにけしかけられたジュリアンは、恋人のサビーヌ(音波みのり)の心配もよそに賭けに乗る。
「スリは失敗したことがない」と豪語するジュリアンだったが、ボランジュ総督はあっさりジュリアンの手口を見破りジュリアンを捕らえてしまう。警察に突き出されることを覚悟するジュリアンだったが、ボランジュは何故か彼を自分の屋敷に招き入れる。そこでボランジュは、かつては自分もただの不良だったこと、悪党で伸し上がれる者はごく僅かであることをジュリアンに語り、その炎のような野心を自分の教えるやり方で叶えてみせろと諭す。始めは反抗的な態度を取っていたジュリアンも、ボランジュの言葉を受け入れ、彼の元で伸し上がる決意をする。
そんなジュリアンの変化をジャックや不良仲間たちはからかい、暴行を加えるが、サビーヌがかばったことで難を逃れる。そこでジュリアンが総督と共にフランスのパリへ渡ることを知るサビーヌ。サビーヌは旅立つジュリアンに寂しさを感じながらも縋るようなことはせず、彼の成功を祈って送り出すのだった。

それから5年後、ボランジュの秘書官として将来を有望視されるようになったジュリアン。
パリの社交界でも人気を集める彼に、ボランジュは自分の娘エリザベート(桜庭舞)の婿としてジュリアンを迎え、後継者にしたいと考えるようになっていた。プライドの高いエリザベートは元々不良だったジュリアンを見下し、全く興味がない風を装っていたが、それはジュリアンに惹かれていく心の裏返しでしかなかった。
一方で、パリ社交界の花形シャルドンヌ婦人(万里柚美)もジュリアンを気に入り、可愛がっている盲目の姪っ子アナ・ベル(小桜ほのか)を幸せにしてくれるなら政界進出を後押しするとジュリアンに持ちかける。純真なアナ・ベルはジュリアンを優しい好青年と思い、一途に慕い始めるが…そんなアナ・ベルを、付き人のアンドレ(極美慎)が複雑な思いで見守っていた。
そんな時、ジュリアンは偶然訪れたパリのナイトクラブでダンサーとして働くサビーヌと再会する。成功していくジュリアンをせめて近くで見守りたかったと話すサビーヌに胸を打たれるジュリアン。しかしそこへジャックも現れ、「今、サビーヌは俺の女だ」と告げ…。


とかそんな感じの話です。ざっくり書くつもりが長くなってしまった!
不良(というかイメージは893?)だった主人公が、カタギの道で成功していこうとするも昔の悪行が枷となり、更に複雑な女性関係も絡んできて~と何とも泥臭いドラマ。だがそれが良かった!
以下キャストごとの感想です。


☆ジュリアン@礼真琴

ジュリアンを演じたこっちゃん(礼真琴)、本当に何を演じても上手い方ですね…歌も芝居もダンスも、何という安心感!
アルジェのチンピラだったジュリアンが、パリではすっかり洗練された紳士に。でもその心の裡では変わらぬ野心が燃えていて…というのが滅茶苦茶ハマってました。こっちゃんの低音ボイスがまたかっこいい…!!
全てが良かったですが、特に印象的だったのはアナ・ベルを誘惑する場面。カウチに並んで腰かけて、アナ・ベルを篭絡しようと手を取るんですが…その撫で方のまーエッロいこと!!(笑)
すぅっと腕に手を這わせるだけであれだけドキッとさせられるって、あれぞ男役の妙技なのだろうな~!!とガン見しちゃいました。手って本当に色気が出ますね。アナ・ベルちゃん、盲目な上に生粋の箱入り娘だからな…ありゃ落ちるわぁ…。
一方で、エリザベートの扱いは粗野というか、いきなり腕をガッと掴んだりとそこら辺の温度差もゾクッとしましたね。あー本当に、自分を小馬鹿にしている女を見返したいだけで、女としての興味は一切ないんだろうな~っていうのが口に出さなくても分かるっていう。全く心のこもっていないエリザベートへの「愛してる」とかさ…悪い男だよジュリアンも、あーあ!
しかしこっちゃん、上手すぎて浮いてしまうのが一番の難点なのかも…パリの夜会で男役数人がソロで歌った後こっちゃんも加わって一緒に歌う場面があったんですが、こっちゃんが歌い始めた途端「!?マイクの音量3倍にされた!?」てくらい声量が違いすぎて。大劇場公演だとまた印象も変わるかな…。

あ、あとついでにお話の終わり方についてなんですけど。身から出た錆と言えばそれまでなんだけど切ないですね…ジャックが最後までKUZUなのに対して、ジュリアンは真の愛に気付けた辺り主人公だなって感じでしたが。
しかしジュリアンが撃たれたと思ったら幕が下りてきてしまい、「え、誰!?誰が撃ったの!?ちょ、幕下りてきちゃってますけど!?だれ…あー!!お前かー!!!!」で終わるの滅茶苦茶ハラハラしました…!(笑)席が上手側だったのもあって、中々撃った相手が見えなくてさ!しかしすごい終わり方だなぁ…あんなに幕が下りてくるのに焦った観劇も初めてだと思う。
まさに衝撃の「幕切れ」でした。


☆ジャック@愛月ひかる

すっごく良かったです!!星組との親和性が滅茶苦茶高いと思いました!!
すごく良かったと言いつつ、演じてらしたのがKUZUの極みジャックなので何かちょっと褒めにくいんですが…(笑)
でもジャックが悪に徹する程、カタギを目指すジュリアンとの対比が面白くなる作品ですよね、これ。
なので「うわージャックって嫌な男だなー!!」て思わせれば思わせるほど、役としては大正解だと思うわけです。
というわけで愛ちゃん(愛月ひかる)ジャック、ホンット~~~に最低で嫌な男でした!!!(笑)
でもさ~嫌な奴なんだけど、立ち姿はシュッとしていてかっこいいし、悪い男の魅力に溢れてるんだよなぁ。
こっちゃんがとにかく上手くて圧倒的な存在感のある方なので、ジャックが弱いとお芝居としてもしまらなかったと思うんですよ。そういう意味でも、愛ちゃんがこの公演に参加されたのって凄く良い効果を生んだんじゃないかと思います。

あと、個人的にこっちゃんて陽の魅力に溢れた方だと思うのですが、愛ちゃんには陰の魅力があるなと思ったので二人の並びは対照的でとても良かったと思います。
学年逆転問題は起こってしまうけど、愛ちゃんは星組に移ってこっちゃんの二番手になっても良かったのではと思ってしまった…それくらい、ことあい相性良いなって思ったんですよ…また何かの形で共演が観られるといいな~。


☆サビーヌ@音波みのり

陰でジュリアンを支え続けるヒロイン、サビーヌをとても魅力的に演じてらっしゃいました!
星組観劇歴が浅すぎて音波さんをよう知らず…恐縮ではありますが、サビーヌの献身的な愛し方って「年上彼女」感があると思ったんですよね。なんかこう危なっかしい年下の彼氏を放っておけなくて、つい見守っちゃう感じ…。
なので上級生がこの役を演じるってぴったりなのでは?と思いました。
それでいて音波さん、可憐で初々しい雰囲気もあるんですよね。サビーヌってしっかりした大人の女でダンサー姿なんて超かっこいいし色気もあるけど、ジャックみたいな悪い男に付け込まれる隙もあるわけで…そんな危なっかしさもちゃんとある、みたいな。
ジュリアンを守るために、自分の手でジャックにケリをつけるところなんかすごく良かったなぁ…手は汚しちゃったけど、良い女だと思うのでサビーヌには幸せになって欲しいよ…。


☆アナ・ベル@小桜ほのか

アナ・ベル~~!!可愛いよアナ・ベル~~!!ジュリアンみたいな悪い男に騙されちゃダメだアナ・ベル~~!!!!!
という気持ちでずっとハラハラしながら舞台を見守ってしまった…小桜さんのアナベル、無垢で可憐な雰囲気がとても良かったです。
そして歌声がとっても綺麗~!!
とはいえその美しい歌声が聞けるのは、ジュリアンの裏切りを知る悲しい場面でもあるわけですが~…アナ・ベルの美しくも切ない歌声と、ジュリアンへの怒りを押し殺しながら健気にアナ・ベルを支えるアンドレの背中が泣けた…。
…ただすみません、この場面でアナ・ベルが「湖の近くの別荘に行く」と話しているのが、湖に身を投げることを暗喩しているってのはさっぱり分かりませんでした…後から友達に聞いて「あーそういう意味だったんか!!」とガッテンガッテン。だからあのラストシーンに繋がるのね、なるほど…。
良家のお嬢様が悪い男に利用されて純情を踏みにじられ、傷心の中ひそかに命を絶つ…ってやっぱり時代を感じてしまう展開だけど、こんな詩的な表現も今の時代ではあまり見ないよなぁ。「エルベ」もそうだったけど、昔の作品ならではの奥ゆかしさや魅力ってありますね。


☆エリザベート@桜庭舞

元雪娘の桜庭さん!今回、3人のヒロインのうちの一人を演じられるということで楽しみにしていました。
エリザベートはツンデレ枠というか、ジュリアンに惹かれてはいるもののプライドの高さが邪魔をして中々素直になれないという役どころ。なので最初の方は「綺麗だけど鼻持ちならない女」感が強いんだけど…ジュリアンの出自を知っている上に、初対面があれじゃあねぇ…。彼女はお父さんが若い頃ワルだったってことも知らなさそうだし、どうして総督の娘である自分がこんな不良男と!?と意地を張っちゃうのも分かる気がする。ましてや親が2人を結婚させようとさせてるとなると、余計に反抗心が生まれちゃうだろうし。
そんな複雑な女心を繊細に演じてらっしゃいました。ジュリアンに惹かれていることを認めるのは苦しかったろうなぁ…これがラブコメだったら、エリザベートが素直になったことでジュリアンと結ばれてハッピーエンドになったかもしれないのにね。はぁ。残念ながら相手がKUZUなんですよ…。
役柄的に3ヒロインの中では一番微妙な立ち位置に感じましたが、歌もお芝居も良かったので今後ますますのご活躍をお祈りしております!


☆ボランジュ総督@朝水りょう

正直に言います…今回一番萌えたのは朝水さんのボランジュ総督です!!めっっちゃかっこいいんですけど~~!!??
登場してきた時、ただの老け役だと思って本当にすみませんでした…ジュリアンのスリを未然に防いで腕をひねり上げ、更にナイフの攻撃をかわした上でステッキで難なく撃退。その立ち回りがカッコ良くてヒョエ~と思っていたら、屋敷に戻って何気なくくつろぐ姿がまた渋かっこいいのなんの!!そして「この人、今でこそ立派な紳士だけど若い頃は相当のワルだったんだろうな…」と感じさせる危険な男の色香もあり…思わずオペラを覗けばお顔も端正ときたもんですよマジか。とんでもないイケオジと出会ってしまったぞ。
そんなんでもー休憩時間になってすぐにお名前を調べました。ら、なんとびっくりこっちゃんより下級生だった!マジかー!!
あの渋カッコよさ、埋もれさせるには余りに惜しい…ので、今後の更なるご活躍をお祈りしまくります!!またイケオジ役があれば大変嬉しいです劇団様、何卒何卒!!

と大分長くなってしまったのでこの辺で…とにかく朝水りょうさんのボランジュがカッコ良かったという話がしたかったんだ私は。
ショーの感想も書きたかったものの書き損ねたので一言だけ!
こっちゃんSUGEEEEEEEE…!!!以上です!!

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